「待てって!」
さくらの細い手首を掴み引き寄せて腕の中に捕まえた。
「放してください」
目を背けてわざと俺を見ない。
「さくら」
「…わたしは大丈夫です。玲央さんがわたしを好きじゃないことぐらいわかってましたから」
そう言いながらも、背けた横顔から大きな雫がポタリポタリと流れて落ちた。
「さくら違う」
「いいんです。玲央さんがわたしを好きじゃないってことはずっと前からわかってたんです。ただ…わたしが…諦めが悪かった…から」
切ない涙が次々と溢れ出す。
「―――わたしが諦め悪かったから」
「違うって聞けよ!」
俺から顔を背けるさくらの肩を掴んで精一杯の気持ちで抱き締めた。



