泣かせるつもりじゃなかった。
玉木がさくらのことを好きだって知ってたからつい。
つい、自分はさくらには相応しくないんだって思ってしまったんだ。
ヤクザな俺がひとを好きになる資格はないのかもしれない。
いつもそんなことを考えていたんだ。
いつだって俺は怯えていたんだ。
大事なものができれば俺は弱くなる。
守れるはずもない。自分に本当は自信なんてこれっぽちもなくてそれを自分で認めるのが怖かったんだ。
いつだって俺は自分の気持ちを圧し殺してきた。
いつだって目を背けて逃げてたんだ。
さくらのことだって。
さくらが俺を見ていたのに知らねえ振りをしたんだ。
ただ傷つきたくなかっただけで。
俺は臆病だった。



