『若恋』玲央の初恋【完】



バンッ

背中を叩かれて追いかけろと。玉木が。



「俺はレオがさくらちゃんを大事に想ってるのわかってるからさ」


「…たまき」


「ほら行けって!」


「…………」





玉木、いいのか?


「いいって。早く行けよ」

「サンキュ」



心が決まればもう足は自然にさくらの元へ急ぐ。

教室を出て廊下を走り、屋上への階段を上がりきったところでさくらに追い付いた。



「待てって!」

「やっ!」


無理やりに振り向かせたさくらの頬は涙に濡れていた。



泣かせたのは俺なんだって胸が痛くなる。