「レオみたいに鈍感なヤツにはこうでも言わねぇとわかってもらえねえからな」
「………」
「さくらちゃんを好きだろ?」
「………」
キライじゃない。
だけど、好きだっていう気持ちがどんなものなのかわからない。でもそんなのは本当は嘘だ。わかってる。
「俺は、さくらを…そんな目で見たことない」
それが精一杯。
ガタッ
「さくらちゃん!」
物音がして玉木が教室の入り口に向かって叫んだ。
「さくら?」
俺もつられて振り返る。
さくらは教室の入り口で泣きそうな表情をして立っていた。
「あの、ご、ごめんなさい」
それだけ告げて、戸口から出て廊下を走り出す。
「レオ、追いかけろ!さくらちゃん誤解したぞ」
「な、なにを」
「そんな目で見たことねえってのは好きじゃねえってことだって誤解したんだ。ほら。追いかけろって!」



