まっすぐに俺を恐れずに向かってくるさくらが格好よかった。
さくらにこんなことを言ったら笑われるのかもしれなかったが、俺に意見する彼女が立派に見えた。
「さくらの言う通り、だな」
呟くと玉木がぎょっとした。
「レオ、頭の中大丈夫か?」
「あ?」
「いや、やけに素直に反応してるからさ」
「は?」
どれだけ俺はひねくれてるように見えてたんだ?
俺だっていろいろと考えてるしさくらに言われたことも受け止められる。
「玲央さん、あの、明日…」
「なんかあるのか明日?」
「いえ、…なんでもないです」
さくらが何かを言いかけてでもやめる。俺を見上げる瞳が不安気に揺れた。
「なんだよ?言ってみな」
「…わたし、電車に乗るのが…怖くて…」
語尾が小さく消えてさくらが俯いた。
「そんなことか」
「?」
「明日から登下校一緒に電車に乗ってやるよ」



