『若恋』玲央の初恋【完】


小首を傾げて俺を見る彼女がだんだんと笑みを深めていく。

「まあ、いいっか」



ぶはっ

何がまあいいかなんだろう?
ニコニコして俺を見た彼女は本当に不思議な娘だった。

ここまで天然だと何も言えない。

笑っちゃマズイのかもしれないけど、笑わずにはいられない。




「あんた、名前なんて言ったっけ?」

「神楽さくらです。さくらは平仮名です」



「さくら、か。あんたを覚えた」

こんな強烈な天然後にも先にも出会えねえ。






それが、さくらとの出会いだった。