家がヤクザなんて女が知ったら逃げてくさ。



そう。
そのとおりなんだろう。

俺が大神物産の会長孫だっていうのは知られていても、裏では父が大神組、若頭だってのは知られていない。
そして、いずれは俺も跡目を継ぐ。
そんな家に生まれた俺だと知ったら女は避けていく。




そんな俺には女はいらない。




「見ろよ、やっぱレオを見てるぞ」

「見ただけだろ?」

「サボりバレたんかな?」

「入学式サボったくらい、誰も気にも止めねえよ」


俺の通ってた中学はそうだったからこの高校もそうだろう。

3人で式を抜け出したからといっても誰も追いかけて来るわけでもない。

中庭の外れで日向ぼっこしてるだけの俺らに文句の言うヤツもいない。



「おい、あの娘、こっち来るぞ」


鍵谷が腕で脇腹を突いた。