「さくらさん、俺らのとこに連れてってやるよ」
そんなことを言い出した鍵谷に玉木が賛同してる。
「ここからちょい距離あるからタクシーで」
「いや、車なら今呼ぶ」
タクシーは嫌いだ。
知らない運転手の車は好きじゃない。
携帯を取り出しボタンを押して駅の名を告げた。
「あと、10分位で来る」
パタンと携帯を閉じ、彼女の視線に気付き横目で見た。
「なんか俺の顔についてるか?」
「あ?え、あの。目と鼻と口がついてます」
ぶぶっ
彼女はあたふたしながら真面目な返事をしたけど、どう考えても漫才みたいな答えだった。
思わず吹き出した。
「さくらちゃん、のれ、可笑しい!」
玉木は腹を抱えて笑ってるし鍵谷も涙を目尻に浮かべて俺の肩をバシバシ叩いた。



