「いっつも女の前で笑ったりしねえからさ」
「…そうか?」
「そうだよ。いつもこんな顔して周りの女睨んでるじゃん」
「…いつもそんな顔俺はしてるのか?」
鍵谷が俺の顔の真似をしたが、どう考えても機嫌の悪い朝青龍みたいな顔だった。
「俺はそんなに愛想ないのか?」
「あれ?自覚ないん?」
「………」
俺はそんなにすげえ態度して女を睨んでるのか…最低限の関わりしか持ちたくないって思ってただけなんだが。
「でも、今いい表情してた」
玉木も鍵谷も笑った。
「あんた名前なんて言うんだ?」
そうそう名前も聞いてなかったっけ。
「神楽さくらです」
「かぐら?さくら?」
なんか聞いたことあるなって思ったけどそれが何なのかは結局わからなかった。



