「あ、この娘、思い出した!」
「あ?」
「俺らが去年花火大会に行った時に酔っぱらいに絡まれてた!」
鍵谷がそんなことを言ったからなんだかぼんやりと思い出す。
そんなこともあったっけ。
「わたしずっと助けてもらったお礼も言えずじまいで、今日だって言おうと思ってたこと玲央さんを前にしたら全部飛んじゃって…」
「もしかして、あんた天然?」
俺の失礼な態度に彼女は顔をますます赤くした。
「天然、で、しょうか?自分ではよくわかりません」
ぷ。
なんだかこの娘笑える。
「へえ、レオが笑ってやがる」
玉木が俺が声出して笑ったのが珍しいって目を丸くした。
そんなに俺が笑うのが珍しいのか?



