『若恋』玲央の初恋【完】


「連れてってどうすんだよ」

「連れてかないと、また連中に纏わりつかれたらヤバイだろ」

「ちっ」

「舌打ちしたってダメだぜ。おまえが助けたんだからな」

「………」

つい仏心を出して助けてしまったことを後悔した。

成り行きで助けてしまってもいいことなんかない。

これっぽっちもない。



「そんなに怯えなくていいよ。こいつは女嫌いなだけだから」

「こんな仏頂面をしてるけど悪いヤツじゃないから」


ふたりのフォローはなぜか俺を味噌糞に言ってるような気がした。

ムッ。



「こいつ別に悪気ないから怖がんなくていいから」


けらけら笑う。


玉木、おまえが言うなよ。
俺は女なんかに構いたくないんだよ。
いつだって女は俺の気持ちをズタズタにする。
俺自身を見てくれるヤツなんかいない。

勝手に近寄ってきては勝手に怯えて去っていくんだ。