「おい!大丈夫か?!」
翼は唯歌に駆け寄る。

すると翼は唯歌が濡れていることに気づいた。

「どうしたんだ!?」
翼は聞くが、唯歌は下を向く。
「…」

翼は唯歌に何か嫌なことがあったのだと思い、すこし遠慮がちに聞くことにした。
「今日はいったい何があったんだ?」

唯歌はゆっくりと口を開く。
「……今日…朝学校に来ると……綾達にトイレに連れて行かれて……殴られて…。」

「トイレから出たら、勇二くんの罠にひっかかって監禁された……それにナイフも振り回してきたけど…隙があって逃げてきたの……」

翼が唯歌を見ると、唯歌は下を向いたまま涙を流していた。

翼は何も言わず、唯歌を抱きしめた。

「!!」

唯歌は驚いていた。唯歌はみんなの玩具になっていたのでこのようなことをされたのは初めてだったからだ。

「唯歌…」
「……ぅん」
そう言って唯歌もギュッと抱きしめた。