てことは、さっきの映画館で名前を呼んだのも、聞こえてなかったのかも…。

なぁんだ、無視、されたんじゃなかったんだ…。



「礼生くんっ!」

「ん?」


あたしってば、なんて現金なんだろ。
そう分かったとたんに、機嫌が戻るなんて。


「ありがとう!」


さっき言えなかった分のお礼とソフトクリームをおごってくれたお礼を。

大好きなストロベリー味のソフトクリームを差し出す礼生くんに向かって。

笑顔で、大きな声で、あたしは言った。