面倒くさがりな俺だが、時間はちゃんと守る。

午前10時より10分早い。

日和が来るのを待つか、と周りを見回した。


「…ありえね…」


一瞬、見間違いかと思ったが、そんなことはない。

ストレートだった肩までの髪はゆるく巻かれている。

制服しか見たことがなかった服は柔らかそうなスカートだ。


いつもと違う雰囲気に、目を取られていた俺に気づいたのか。


「礼生くんっ!」


ふわふわの髪とスカートの裾を揺らしながら、日和は俺のところまで走って来た。