俺は教室のドアを開けた。 まず目に飛び込んで来たのは、俺の隣の席に座る女の子。 肩の辺りまで伸ばされた、黒いきれいな髪。 笑うとなくなってしまう、黒目がちなたれ目。 俺の名前をつむぎだす、小さく赤い唇。 ちょっと低めの鼻に、白すぎる肌。 背は、俺の肩くらい。 大嫌いな女の中で、この子だけは絶対に違う、と断言してやる。 だってこの子だけは、 日和(ひより)だけは…、 分かってくれたんだ。