ピンポーン

「藍花。来たよ。」

さっき電話で家には藍花しかいないと聞かされていたから、インターフォンを押して返事を待たずに部屋に入った。

小さいころからよく遊びに来てたから、勝手知ったる第2の我が家のような感じ。

部屋に入っても藍花の返事はなくて、リビングにも姿がなかった。

藍花もまだ準備してるところなのかな?

耳を澄ますと、藍花の部屋の方から歌声が聞こえてきて、そこに藍花がいるのが分かった。

随分楽しそうだな。

コンコン

「藍花?入るよ。」

ドアをそっと開ける。

「あ、楓!もう来るの遅いよ!」

そう言っている藍花も浴衣を着付けている最中だった。

「せっかく大和くんと一緒に花火見られるんだから、うんと可愛くしなきゃ!」

私は藍花に力づくで鏡台の前に座らされた。

「あれ?メイクしてないの?」

「う、うん。」

メイクなんて遊び程度にしかしたことないから、自信ないんだよね…。