「大和くん。」

ガヤガヤと盛り上がっている中で、藍花が笠原くんに声をかける。

「なんだよ、藤沢まで。」

「もう楓に寂しい思いさせないでね。好きならちゃんと好きって言ってあげないと楓不安がるから。」

「ちょっと、藍花っ!」

そんなこと恥ずかしいから止めてよ…。

「今まで散々楓をヤキモキさせてきたんだからね。」

藍花の言葉に、笠原くんははっと息をのんだ。

「ちゃんと彼女として大事にしてあげてね。」

そう言って藍花はどんと笠原くんの胸を叩いた。

「ってぇ。分かったよ。もう曖昧な態度とったりしないから。」

しっかりと見つめる笠原くんの視線に私の心臓は射抜かれてしまった。


「でさ、藤沢。」

「ん?」

「お前もさ、あんまり冷たくすると成田がへこんでウザイから、ちゃんと相手してやれよ?」

笠原くんはそう言ってニヤリと笑い、かわりに藍花の顔が耳まで真っ赤になった。

「も、もしかして藍花?!」

「わぁぁぁ!言わないで!!」

私の口を勢いよく押さえる藍花の慌てた様子に、思わず笑みがこぼれてしまった。


知らなかったよ、藍花?

―――fin.―――