そうだった。

笠原くんに会えることばかり考えていたから、こういう事態になることすこしも考えなかった。

森田くんはにこにこというより、ニヤニヤした笑顔で笠原くんの返事を待っている。

「そうだよ。」

「お!とうとう認めたな!」


「えー!笠原くん、楓のこと好きだったの?」

亜美ちゃんが残念そうに言う。

亜美ちゃん、笠原くんのこと好きだったみたいだもんね…。

「そう。ずっと好きだった。」

笠原くんの笑顔に、周りにいた女の子から黄色い悲鳴が上がる。

体がかぁーっと熱くなる。

「なんだよ。この前まで"思春期ど真ん中"みたいに照れてたくせにさ。」

「うるせぇ。若気の至りだよ。」

笠原くんは森田くんを睨む。

「森田、それくらいにしてやって。あんまイジるとこいつまた照れて話しかけられなくなるから。」

千葉くんのその言葉に、笠原くんは顔を赤くした。

「眞人、お前っ!」