この日のために見繕った髪飾りをいくつか持って、巾着と下駄を出して、家を早めに出る。

思わずスキップしちゃいそうなくらいウキウキしている。

藍花の家に向かう途中、浴衣を着ている人を見かけるたびに、気分がどんどん高まっていく。


まだ外は明るくて日差しは強いまま。

花火大会を告げる音が、さっきから何度も聞こえる。


私の家から藍花の家までは10分近くかかる。

でも、藍花の家から笠原くんの家は近くて3分もかからない場所にある。

藍花の家に行く前に笠原くんに会ってしまったらどうしよう…!

髪型も簡単に結んだだけなのに、そんな時に会ったらせっかくの浴衣の意味がない。

そう思ったら、大通りを歩くのを止めて路地に入って藍花の住んでるマンションに向かうことにした。

今日はちゃんと可愛くして会いたいんだもん。