【短編】社長の秘書サマ





勢いよく後ろのドアに押し付けられる。


背中に鈍い痛みが走り、うめき声を上げた。




「ほら、早く」




顎を掴んでいる手とは反対の手で、搦め捕るように私の両腕を締め上げた。




「呼べ。如月」


「い、ゃ…」




絶対に私から折れたりはしない。


男の首筋に残された赤い印を見て、心の奥がチクリと痛んだ。


それを隠すように男から視線を逸らす。


……何よ。


どうせ私のことなんて、ただの玩具だとしか思っていないくせに。


ギリッと奥歯を噛み締める。




「如月。こっちを見ろ」


「っ、嫌」


「如月」




あぁ、もう。


如月、如月って。


そっちこそ、私のこと…