【短編】社長の秘書サマ





…何よ。


余裕ぶって。


ムッとして睨みつけると、男は勿体振るようにゆっくりと顔を離した。




「――――如月」




少し掠れた声。


いつのまにか掴んでしまっていた男の服を、静かに離した。




「俺を呼べ」




獰猛な獣の目が私を捕える。


負けじと鋭くその目を見返しながら、言い放つ。




「嫌よ」




ぐッと私の顎を絡めるように掴んでいた男の指に力が入る。


首が痛くなるくらいらいに上を向かされ、小さく顔を歪めた。




「頑固なヤツだな」




そう言って嬉しそうに男は笑った。


ゾクリと体が震えた。


ヤバい…


そう思った時には、もう遅かった。