…何よ。
余裕ぶって。
ムッとして睨みつけると、男は勿体振るようにゆっくりと顔を離した。
「――――如月」
少し掠れた声。
いつのまにか掴んでしまっていた男の服を、静かに離した。
「俺を呼べ」
獰猛な獣の目が私を捕える。
負けじと鋭くその目を見返しながら、言い放つ。
「嫌よ」
ぐッと私の顎を絡めるように掴んでいた男の指に力が入る。
首が痛くなるくらいらいに上を向かされ、小さく顔を歪めた。
「頑固なヤツだな」
そう言って嬉しそうに男は笑った。
ゾクリと体が震えた。
ヤバい…
そう思った時には、もう遅かった。

