【短編】社長の秘書サマ





自分自身をしきりに褒めていると、目の前の男の瞳がスッ…と細められた。




「ほう…分からないか」




妖しげな声に、不覚にもゾクリと背筋が震える。


そんな私を見下ろしながら、男は笑う。




「…では、今からたっぷりと分からせてやろう」




そう言うや否や、男は素早く私の唇を奪った。


少しだけ冷たく感じるそれを押し当てられながら、ゆっくりと目を閉じた。


抵抗はしない。


啄むように繰り返される口づけが、深く絡み合う口づけへと変わる。


どちらともわからない唾液が、顎を伝っていった。




「…っん」




息苦しさから、鼻にかかったような甘い吐息が漏れる。


微かに開けた視線の先に、薄く微笑む男が見えた。