【短編】社長の秘書サマ





「俺を信じろ」




その言葉を聞いた瞬間、心の中でパリン…と何かが壊れた。


それを機に、数え切れないほどの大粒の涙が落ちていく。




「しゃ、ちょ…」




嬉しい。


本当なのね…?




「違うだろう、伊緒」




あなたの瞳には、何の濁りもなかった。


ただ純粋な気持ちが真っすぐに伝わってきたの。




「―――“創司”さんっ…」




信じてほしいと。


ただそれだけが伝わってきた。


勢いよく飛び込んできた私を、創司さんはしっかりと抱きしめた。




「馬鹿。勝手に既婚者にするな」


「ごめんなさいぃ…」


「俺はお前だけでいい」




そう言って、優しく優しく頭を撫でられ、私の涙腺は決壊してしまった。


そんな私を創司さんは、ずっと抱きしめてくれていた。