痛い。
そう叫んでやりたかったが、いつもとは違う男の様子に戸惑う。
何なの…?
どうしてそんなに怒ってるの。
いつもなら怖いくらいに綺麗な笑みを浮かべて、静かに怒るくせに。
こんなにも感情をあらわにした男を見るのは、初めてだった。
スッと私に男の視線が落ちてくる。
まるで射抜くような鋭い目つきに、体が強張った。
「…お前は俺のモノだろう、伊緒」
ゆっくりと確かめるように発っせられた言葉。
それを理解するのに、私の小さな脳をフル回転させる。
俺のモノ?
誰が?
「どうなんだ、伊緒」
私が、この人の…?
プツンと何かが切れる音がした。

