【短編】社長の秘書サマ





痛い。


そう叫んでやりたかったが、いつもとは違う男の様子に戸惑う。


何なの…?


どうしてそんなに怒ってるの。


いつもなら怖いくらいに綺麗な笑みを浮かべて、静かに怒るくせに。


こんなにも感情をあらわにした男を見るのは、初めてだった。


スッと私に男の視線が落ちてくる。


まるで射抜くような鋭い目つきに、体が強張った。




「…お前は俺のモノだろう、伊緒」




ゆっくりと確かめるように発っせられた言葉。


それを理解するのに、私の小さな脳をフル回転させる。


俺のモノ?


誰が?




「どうなんだ、伊緒」




私が、この人の…?


プツンと何かが切れる音がした。