「誰だ?見られるということは、ここの者か?」
「えっ?い、いえ、あの…」
「違うのか?」
な、何なの?
話に全くついていけない私は、くるくると表情が変わる。
「伊緒。相手は誰だ」
「いや、ちょ…」
一体何の話よ…!
私が結婚?
どこをどう聞いてたら、そんな話になるの…!
とんでもない勘違いをしているらしい男に、私は慌てた。
「しゃ、社長…!私は…」
「――――許さない」
「……はい?」
「俺は認めない」
無意識に掴んでいた男の服を握る私の腕を、大きな男の手が掴んだ。
強く握られ、私は思わず顔をしかめた。

