【短編】社長の秘書サマ





「誰だ?見られるということは、ここの者か?」


「えっ?い、いえ、あの…」


「違うのか?」




な、何なの?


話に全くついていけない私は、くるくると表情が変わる。




「伊緒。相手は誰だ」


「いや、ちょ…」




一体何の話よ…!


私が結婚?


どこをどう聞いてたら、そんな話になるの…!


とんでもない勘違いをしているらしい男に、私は慌てた。




「しゃ、社長…!私は…」


「――――許さない」


「……はい?」


「俺は認めない」




無意識に掴んでいた男の服を握る私の腕を、大きな男の手が掴んだ。


強く握られ、私は思わず顔をしかめた。