【短編】社長の秘書サマ





答えろって、一体何を?


どうして?




「…いや、です」




どうしてそんなこと聞くの?


どうしてそんなに怒ったような顔をするのよ。


玩具じゃ、気にくわなかった?


じゃあもう、何だっていい。


ペットでもいいから。




「はなしてください…」




早く私を解放してよ。


代わりなら、いっぱいいるんでしょう?


私だってそのうちの一人に過ぎない。


ずっと騙していていれば、飼い犬が噛み付いたりはしなかったのに。




「もう、やめてください。誤解を招きかねません」




見落としていたの?


まるで見せつけるように首筋に浮かぶ赤い花を。