次にアイツが目を覚ました時、どうやら酔いは醒めていたみたいだった。
パチパチと何度も瞬きを繰り返すアイツに、俺は小さく笑う。
『…伊緒』
俺の声にアイツは首を動かし、俺の方を見上げた。
そして、申し訳なさそうに眉を下げた。
『すみません…寝てしまって…』
恐る恐る謝罪するアイツは、今まで見たことがなかった。
コイツはいつだって強気だからな…
現に、コイツは自分のしたミスを絶対に認めようとしない。
『これは社長が先程、そうするようにとおっしゃっいました』
凛とした態度でハッキリと物事を話す。
社長を支えるための、秘書のくせに。

