「離して…」
そんなの、嘘。
ほんとはずっと、抱きしめられていたい。
「しゃ、ちょぅ…」
最初から分かっていた。
叶わぬ想いだと。
だけど、抑えることなど出来なかった。
初めて抱かれた夜。
何度も何度も私の名を呼ぶ甘い声。
愛おしむように落とされる熱い視線。
この男のすべてが私を掻っ攫っていった。
体も、心も。
鮮やかずきる早業に、私はなす術もなくこの男の虜となった。
そして、いつしか私は傲慢になっていった。
―――恋は盲目。
これを恋と呼ぶのには、ふさわしくないかもしれない。
だけど、この体を突き上げる獰猛な感情は、確実に私を変えた。

