「あらあら、お舟ちゃん。どうしたん?」
「…豆腐のオバちゃん…。」
お舟は涙をピタリと止まらせてから、豆腐のオバちゃんを見る。
豆腐のオバちゃん。
うちの隣にある、豆腐屋のオバちゃん。
よくお世話になっている。
「お琴ねーちゃんが…。おとっつぁん…。お店…。」
「?…どしたん?」
豆腐のオバちゃんは、うちの方をチラッと見る。
うちはハッとして、立ち上がる。
「あっ…あの。えっと…対したことじゃありません。
お舟が、菓子をどうしても食べたいと言うもんで…。
そやさかい、怒ったら、急に泣き出して…。
心配せんでもいいどす。」
「そう…。」
うちはホッと胸を撫で下ろして、座り込んだ。
「嘘ばっかり…。お琴ねーちゃんの嘘つき…。」
