文久3年(1863年)───。



「おとっつぁん!!店の看板、取っといたよ~」



うちは、病で寝込んでいるおとっつぁんに向けて、元気良く言った




「おお、お琴…すまんな。」



「ううん。うち、好きで手伝いしよるから。」



うちの名前は



『甲賀 琴(こうが こと)』。



薬屋の娘



おとっつぁんは、ついこの前、病におうて、ずっと寝込んどる。




そやさかい、うちが店番しとる。




思ったより、大変やけど、おとっつぁんのためなら、うち頑張る!!!




「お琴ねーちゃん、ご飯まぁだ?」



「ちょっとは待ち!!お舟。」



「うぅ~…」



この子はうちの妹のお舟(ふな)。



食いしん坊で、負けず嫌い。



うちが、15やから……お舟は6。



歳が結構、離れとるけど


こう見えて、結構な仲。