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あれから、天使が私の前に現れた日から10年。

私は図書館の館長となっていた。


あの天使の名前も、すっかり忘れていた。

ただ、あの時代の羽の温かみだけは覚えている。

14歳という幼い歳で、周りなんかさっぱり見えなかった。

借金取りに追われてた先生は、息詰まって死んだ。

何も手助けできなかった。気づけなかった。

あんなに助けてもらったのに。

ミサンガが切れたあの日、先生が願った事って何だっけ?


あの天使、人間になって会いにくるといっていた事。

私の妄想かな?

そんなこといってた気がする。


天使が最期、私にくれた羽、そして抜けたミサンガ、まだ持っている。

図書館の本を整理していた私。

ポッケに手を突っ込んだ。