「園乃・・・。」

殺風景なところに1人立ち、私の名を呼ぶ人。

「どうしたの・・・?日向未・・・。」

日向未はどんどん私に近づいてくる。

とても厳しい目をしていた。

とてもやせ細っていて、孤独を味わえとでも言うかのようにひどく、やつれていた。

「あたし・・・。見ちゃったんだよね?」

壁にどんどん追い詰められる私。

「どうしたの・・・。」

「先生と抱き合ってるとこ。」

先生と言うのは病院の先生だろう。

「落ち着いてよ・・・。何しようとしてるの?」

日向未は自分の手首を見せ付けてきた。

その手首には、数え切れないほどの傷。

「あんたが面倒な事しなけりゃ私は、自分を傷つける事もなかった。」

日向未は袖をまくる。
傷はひじまで続いている。

「その傷がすごいとでも?笑わせないでよ。」

バッ!!

日向未に私の利き手のひらを見せ付けた。

深い、深い傷を見せ付けた。
包丁で刺された跡だ。


「私はあの先生と結婚するのが夢だったのよ。」