夏とサイダーと500円玉【短編】

あの日も今も、俺と夏乃は2人で一緒にいる。

「何がいい?」

隣の彼女に尋ねると一瞬きょとんとしてから、

「サイダー」

短い答えが帰ってきた。

ピッと夏の空に電子音が響く。

金額の表示が500から350に変わって、ガコンと青いペットボトルが落ちてくる。

それを取り出してから150円を入れ、俺はさっき押したボタンをもう1度押した。

再びペットボトルが落ちてきて自販機が200円を吐き出す。

それをポケットに仕舞う。