夏とサイダーと500円玉【短編】

そうだ、当時500円はそれがあれば何でも買えてしまうんじゃないかと思えるほどの大金だった。

それが今ではどうだ。煙草1箱とちょっと。

金銭感覚の変化と言ってしまえば簡単かもしれないが、何かを無くしてしまったような気がする。

「陽ちゃん、陽ちゃん!どこまで行くの?」

夏乃の声で我に返る。