夏とサイダーと500円玉【短編】

確か小学生の時の夏休み。

帰省していた俺は虫取りか魚取りかをしようと網を片手に遊びに行こうとしていた。

縁側の前を歩いていると

「陽介、陽介」

名前を呼ばれて声の方を向くとばあちゃんが手招いていた。

「何?ばあちゃん」

特に急いでもいなかった俺は縁側に向かう。

「これで好きなもん買っといで」

ばあちゃんの手がどいたとき、俺の手の上には銀色に光る500円玉が1枚。

思わぬ小遣いに目を丸くする。