夏とサイダーと500円玉【短編】

長い髪をなびかせて俺を追い越して行った夏乃の背中を見ながら誰にともなくつぶやいた。

ふと感じる既視感。

あの時、あの日も彼女は同じように不貞腐れて俺を置いていってしまった。

今と同じように俺が金を持っていたというのに。

苦笑しながら夏野を追う。