夏とサイダーと500円玉【短編】

「なあ、夏乃。お前、いつも俺についてきてたよな」

「うん」

隣を見ると俯いた頭が見える。

「もう、さ、後ろついてくるのやめてくれねえかな」

顔を上げる気配。雰囲気が少し、暗くなった。

しかし俺は夏野の方を見ずに坂の上の空に目を向けながら続ける。