「じゃあ、しっかり支えててくださいよ」
「う、うむ」
ケイの父親はしっかりと頷いた。彼の腕の中にはリオネの上顎がしっかりと抱き抱えられ、リオネは強制的に口を開かせられていた。その目の前で、ゼルアが座り込む。
「リオネ、頑張ってくれよ。俺もおじさんも、腕を無くしたくないから、なっ」
言い終わると同時に、ゼルアは勢いよくリオネの口の中に自身の左手を突っ込んだ。それも、自分の頭がすっぽり口の中に収まるほどに、少しでも奥へ奥へと、左腕を捩じ込む。
異物が侵入しているリオネは、涙目になりながら必死に耐えていた。ケイと彼の母親が静かに見守るなか、ゼルアはピタッと動きを止めた。
「っ、見つけた!」
リオネの中にあるなにかを探し当てた彼は、左腕をリオネから抜き出し、ケイの父親はその事を確認するとリオネの上顎を解放し、ゼルアのもとに駆け寄った。
「ゼルア、一体何を…」
「ん、あぁ。これですよ」
ゼルアはリオネの唾液でベトベトになっている左手を差し出し、手を広げる。掌にはリオネの身体と同じ色をした、深緑色の石があった。ケイは不思議そうに見つめるだけだったが、彼の両親は目を見開いた。
「これは…竜玉石じゃないか!リオネの中にこんなものが?」
「みたいです」
「?。でも、竜玉石は普通自然と体外に吐き出されるんじゃないんですか?」
なぜ体内に?と、ケイの母親は首をかしげた。
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