†DragonーaーTheorem†


***

「リオネ…だったよな、なんか調子悪そうだけど」

「グルル…」

「そう、ケイから聞いたんだ」

低く唸る竜と、言葉を交わす少年。父親にしがみついていたケイは不思議そうに、その光景を見つめていた。

「本当に、リオネの言ってることがわかるんだ」

思わず口を開く。それを聞き捉えた彼の父親は、ケイの頭に手を乗せた。ケイが上目使いで父親を見る。

「不思議な子だよ。竜の言葉がわかるから、ゼルアは谷一番の竜騎士になれたのかもなぁ」

ケイは再び視線を戻す。視線の先には、リオネと会話するゼルア。ただ、その会話は一方的にゼルアが話しかけているのだが、確かに、リオネはゼルアに返事をしているようだった。

「…僕も」

「うん?」

「僕も、リオネとお話ししたい」

真っ直ぐにリオネを見つめるケイの視線に、彼の母親は微笑む。

「そうね、もう少し大きくなったらね」

彼女の言葉に、ケイは小さく頷いた。
すると

「へ!?マジでか!?」

ゼルアから突然奇声があがった。驚いたケイたちは、慌ててゼルアに駆け寄る。

「ど、どうしたゼルア!」

ケイの父親は思わず怒鳴り口調で話しかけてしまうが、そんなことを気にする余裕はなかった。他の二人も心配そうに、彼とリオネを交互に見つめる。
しかし、ゼルアはどこか呆れたような、困惑しているような表情をしていた。彼は髪の毛をかきながら立ち上がると、上着を脱ぎながらケイの父親に向き直った。

「おじさん、ちょっと手伝ってください」




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