好き好き、すき。 その感情を認めたときから うちの心の中は 好き という二文字で溢れかえっていた。 でも、どこかこの感情を認めたくなくて 意地を張っている自分もいて。 「どうしたの蘭?」 考え込んでいたうちは 困ったような顔になっていたのだろう。 心配そうに絵美が聞いて来る。 「なんでもないよ!」 たった今、気付いたこの感情。 それを、独り占めしたい、誰にも教えたくない。という思いから うちは絵美にとっさの嘘をついた。