おっと、もう始まってるじゃないか。



慌ててマイクのスイッチをONにして歌い出す。




歌を歌っている間は、嫌な事も忘れられる。



だからカラオケって好きなんだよね。




そんな事を思いながら西村カナの歌を歌う。




得点は、97点。




絶好調だ。




「あ~…。今日は田中さんに負けるかもー。」




残念そうに古泉が呟く。



ふんっ、その前に私と張り合おうっていうのが間違ってるんだよ。




そう思いながらもマイクを机に置く。




「あ、次俺だから田中さん、マイク取って。」




聖が私に手を差し出す。




「はい。」



「ありがとう。」




マイクをポンッ、と聖の掌に置く。



すると、聖はギュウッと私の手を掴んだ。


それに少し驚きながらも聖に掴まれている手を強引に引き抜く。