パパはあたし達のために仕事頑張ってるんだからあたしもパパのために頑張らないと。


だから引越しなんて大丈夫。


この時は自分に必死に言い聞かせて、雲巳との別れを悲しまないようにしてた。


「急な話でごめんね。」

「いいよ、別に。」

「向こうに行っても連絡するから。」

「うん、頑張ってね。」

「ほら、美琴。」

「・・・。」

「バイバイ。」

「・・・バイバイ。」


朝、荷物を車に積んで雲巳の家族に挨拶をした。


口が震えて言葉が話せない・・・。


すると、雲巳から「バイバイ」その言葉を言われて涙が溢れそうになった。


あたしは涙が溜まった目を見られないように下を向いて「バイバイ」って言った。


「じゃぁ。」

「うん。」


車に乗って、車のエンジンがかかる。


雲巳の家族が車の後ろで見送ってくれてる。


「我慢しなくていいよ。」


ママがあたしに向かって小さく言った。


あたしはその言葉を聞いて、車の窓を開けて・・・。


「雲巳!バイバイ!!」


窓から体を乗り出し大きく手を振ると。


雲巳は走り出した車の後ろで走りながら手を振った。


「バイバイ、美琴ーーーー!!!!」

「バイバイ!!またね!!」


雲巳が見えなくなるまで必死に手を振り続けた。


雲巳と離れて4ヶ月がたつと、景色はピンクに染まって新学期シーズン。


この春、あたしは中学生になる。


普通の中学じゃなくて、お金持ちの子が通う中学。


堅苦しい礼儀ばっかで、あたしには会わないトコ。


そして、雲巳ももちろん中学生になる。


普通の中学校に行って、きっと新しい友達でも出来るんだろうな。


なんて、考えながら中学の制服を眺める。



「明日、入学式なんだから制服準備しときなさいよー。」

「分かってるよ。」

「それと、さっき美琴ちゃんのお母さんから電話があったよ。」

「何て?」

「入学おめでとう、コッチも上手くいってるって。」

「そっか。」

「嬉しいんでしょ?」

「別に・・・。」

「隠しちゃってー!」