すれ違う廊下だって、 「政人(マサト)〜、今日もまた語る?」 「あぁ、語る語る」 「この前どこまで話したっけ〜?」 一度も目が合わない。 少しも私を見てはくれないから。 いつも女の子を連れて歩くその姿を、何度見たのかわからない。 本当は…私が居るべきポジション。 振り返って見る政人の背中には、私の男なんて言葉を背負ってはいない。 誰のものでもない。って、書いてあるように見える。