目を見開いたまま、あたしは動けない。
……失敗した。
先輩の声で、反応出来たはずなのに、あたしは完璧に気を抜いていた。
しっかりしていたら、先輩の声なんてすぐに分かる。
先輩の声だって分かったら、申し訳ないけど気付かないフリをする事が出来たし、無視はしなくても振り返る事はしなかったのに…。
「麻美、どこに居るか分かる?」
…今日まで積み重ねて来た努力が、全部水の泡のように思えた。
先輩の顔を見てしまったあたしは、どうしようもなく泣きそう。
というか、泣きたい。
閉まったはずの気持ちが、溢れ出しそうで、怖い。
「わ、わからないです…」
硬直していた体が、やっと動くようになって、すぐ俯いた。

