「なに?」 そう聞いたあたしに、 「ほら」 と言って春が指さす方を見ると、窓の向こうには綺麗な満月の姿があった。 「わあ…」 「やべぇよな、今日の月」 いつもより綺麗に見えるのは、春が教えてくれた月の姿だったからなのか。 それとも、春と寄り添って見ているからなのか…。 「綺麗だな」 「うん」 口角を少し上げて、月を見る春の横顔が近くてドキドキした。 ――――好き、って言いたい。 せめて、このままで。 今みたいに、こうしていつまでも隣にいれるのはあたしだけでありたい…。