聞き間違いかと思った。 いよいよ耳がおかしくなったのかと、わたしは真剣に思った。 でも、動こうとしないわたしを見て彰吾は、 「帰んないの?」 確かにそう言った。 一緒に帰るのなんて、いつぶりだろう。 しかも、初めて彰吾から誘ってくれた。いつも何をするにも、わたしから誘ってばかりいたから。 今も会話はないけど、それでもやっぱり心は正直で、わたしは素直に嬉しかった。 オレンジ色だった空と交換に薄暗くなってきた空を見てほんとにわたしは単純だなって、自分で笑えてきた。