「…………」

オレンジ色に染まる空とは違って、今のわたしの心は温かくなんかない。


…―――泣いてるわたしに、彰吾が近付いてきた。でも、わたしは後退りして腕に抱えていた二つのお弁当を落としてしまった。

そんなわたしを見て彰吾は近付くのを止め、その場から「何かあったのか?」と聞いてきた。

問い掛けに答えもせず、お弁当を落としたままわたしはその場から走り去った。


北館の屋上には、人が来ない。

それを知っていたわたしは、それから北館の屋上にずっと居た。


「迷惑、かけちゃったなぁ…」

そう小さく呟いた声は、空に消えた。