二人の後ろ姿が見えなくなったあとも、しばらく動けずにわたしはひとり、呆然とその場に立ち尽くしていた。
わかってる。
彰吾は松野さんが好きだから、こうなるのは仕方のないことだ。
「…………」
雨は一向に弱まる気配がない。ザアザアと降り続ける雨音が聞こえるおかげで、涙がこぼれる事はない。
こんな想いをしても、あんな風にされても…。
やっぱり、わたしは変わらずに彰吾が好き。
彰吾が松野さんを好きでも、わたしを見ていなくても、別れられないのは、別れを切り出せないのは、好きだと想うの気持ちの方が大きいから。

