「傘…貸そうか?」

気が付いたら、わたしはそう口にしていた。

わたしに気が付いた二人は少し、驚いた顔をした。


「でも…」

「いいよ、わたしもう一本持ってるから」

本当は持っていないけど、彰吾と松野さんが困ってる所を見たら、居ても立ってもいられなくなった。

「ううん、悪いから良いよ」

「そんなことないよ、はい」

「…困ったなぁ」

アハハと言葉通り困った笑顔で可愛らしく笑った松野さん。


「良いよ、どうせ家隣だし俺が入れてくから」