案の定、彰吾はわたしの話を聞いていなかった。 いつものこと。 だから、あまりショックは受けないけど"またか"って思う。 わたしがお弁当を食べ終わると彰吾は立ち上がる。 「弁当、悪かった」 「良いってそんな」 空になったお弁当箱を二つ抱えて、わたしも立ち上がる。 「明日はいいから」 そう言った彰吾に、わたしは何も言わずに笑顔を向ける。 「うん」とも「いや」とも言わない。ただ、笑うだけ。 この瞬間はなんとなく言葉にしたら、ダメな気がしていつも笑って誤魔化す。